ABOUT

このホームページに記載されている一切の文言・図版・写真を、手段や形態を問わす、複製、転載することを禁じます。

©ペトス・講談社/「亜人ちゃんは語りたい」製作委員会
天気情報:©Craid & Yuka Natsumi

SPECIAL

日笠さんは語りたい

――日笠さんは、早紀絵役に決まる前から原作をご存知だったそうですね。
日笠陽子(佐藤早紀絵役)
そうなんです。なので、オーディションに声をかけていただいたときは「当時まだ3巻までしか出てないのに、もうアニメをやるんだ!」ってビックリしたのを覚えてますね。しかも「亜人」っていうキーワードだけ取り出すと、こう、他人とは違う性質ゆえに、ダークな悩みを抱えてしまう……みたいなところに行きそうなんですけど、『亜人ちゃんは語りたい』はすごくポップ。それこそ世の中に「亜人課」みたいなものがすでに存在していて、彼女たちの特殊な性質も個性のひとつとして受け入れられている。そこがまず斬新でした。しかも、そこで社会と触れ合う亜人ちゃんたちの心の機微みたいなものが、すごく繊細に描かれていて。それこそ思春期の女の子なら誰でも抱える問題として、当てはめて読めるところがあって、すごくいい青春ドラマだな、と思いました。
――そのなかで日笠さんが演じる早紀絵先生は女子高生ではなくて(笑)、サキュバスの亜人という少し変わった役どころですが……。
日笠陽子(佐藤早紀絵役)
じつはオーディション自体は、ひかりと町で受けさせていただいたんですけど、原作を先に読んでいたこともあって、もう日笠陽子といえばサキュバスしかないだろう、と(笑)。ただ早紀絵は、いわゆる一般的なサキュバスのイメージからはギャップの大きいキャラクターで。自分の性質がコンプレックスで、男性を催淫しないように努力をして、しかもその努力が突き進みすぎて干物女子になってしまうという。
――なるほど(笑)。
日笠陽子(佐藤早紀絵役)
私は、おひとり様を楽しむ役がすごく得意なんです。早紀絵にとって、ひとりでいることは悩みではあるんですけど、それゆえにひとりの時間が楽しいというか(笑)。この作品でも、お酒を呑んで「プハーッ!」っていうシーンが本当に多いんですけど、やっていてすごく楽しいです。あと『亜人ちゃんは語りたい』というタイトルだけあって、お当番回になるとセリフがすごく多い。モノローグと普通のセリフも混じり方もすごくて、当番回は1話まるまる、ずーっとしゃべっているような状態なんです。しかも今回のアニメは、原作にあった要素をもとに、キャラクターの内面を掘り下げていくような方向で……。それこそ演じていると、早紀絵の内面にどんどん潜っていくような感覚があるんです。本当になんでもないようなひと言に、早紀絵の性格が隠されていたりする。訥々とモノローグを語っていくなかでも浮き沈みがあるのが、また早紀絵らしかったり……。ある意味、演じているという感覚が薄いのかもしれないですね。演じるというよりは、どこかに連れていかれるような感覚があります。
――じていて、面白かったり手応えを感じたエピソードというと?
日笠陽子(佐藤早紀絵役)
第3話(「サキュバスさんはいい大人」)ですかね。早紀絵にとっては初めてのお当番回だったんですけど、後半に町と一緒に話しているシーンがあって。町に対して、大人ぶっていろいろとアドバイスするんですけど、モノローグの彼女は本当に子供というか、恋愛経験値がない。で、むしろ町の方が先に経験値を手に入れてる、みたいな感じで(笑)。その場面は早紀絵の素顔が見えてきたシーンでもあって、ここから彼女の物語が始まるんだな、と。そんなふうに思わされた場面でした。
――では最後に、放映を観てくれている視聴者の方にメッセージをお願いします。
日笠陽子(佐藤早紀絵役)
よくこういうインタビューでは「××というキャラクターが成長して」みたいな話題になるんですが、この『亜人ちゃんは語りたい』は人と人が出会うことによって、成長ではなくてモノの見方が変わる。日常が変わるのではなくて、視野が広がる話になっているのかなと思うんです。だからある意味、私たち自身の普段の生活に寄り添える作品になっている。もちろんサラッと、日常アニメとして楽しんでいただくのもいいんですけど、じつは考えさせられる内容も含まれていて。この作品が、自分の生活を改めて振り返って、ポジティブになるための足がかりになれたら、嬉しいなと思います。