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©ペトス・講談社/「亜人ちゃんは語りたい」製作委員会
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SPECIAL

安藤監督は語りたい

――安藤監督は、この『亜人ちゃんは語りたい』が初監督作品になります。まずは原作を最初に読んだ時の印象をお聞かせいただけますか?
安藤監督
まずは、これまであまり見たことのない絵柄だな、という印象でしたね。“少年マンガ”とか“少女マンガ”のような、カテゴライズがなかなかできない、独特な作品だなと。加えて内容も、普通に女の子が可愛いお話なのかなと思って読み始めると、わりとシリアスなテーマが描かれていたりする。コミカルな部分もあるんですけど、その一方で思春期ならではの悩みを描いていたりもして。そういう意味では、いろんな料理の仕方ができる原作だなと思いました。……実際に制作が始まってみると、「どう料理するか」というところでかなり悩んだんですけども(笑)。
――基本的には、できるだけ丁寧に原作のエピソードを拾っていく、という方向でまとめられていますよね。
安藤監督
1クール分を作るには、原作にあるエピソードをそのままやるだけだとどうしても足りなかったんです。じゃあ、どうしましょうかという話になったんですけど、原作を読んでいくと結構、エピソードの間にスキマがあったんですよね。例えば、第1話の町(京子)さんがクラスメイトと話している場面だったり、第3話で(佐藤)早紀絵先生の日常シーンだったり。彼女たちが普段、どういう日々を送っているのか、みたいなところを膨らませていこう、と。
――『亜人ちゃんは語りたい』というタイトルにもあるように、非常に会話シーンが多いですよね。演出的に注意したところは?
安藤監督
原作はわりとモノローグやナレーションが多いんですけど、僕としてはそれをそのままやる方が怖いな、と思ったんです。むしろ会話劇にできるんだったら、思い切ってそっちに振りたい。僕自身、演出家としては会話劇の方に興味があって、セリフとカメラワークだけでちゃんと物語を追えるものができれば、それはきっと観ている人に伝わるだろうと思っているんです。それこそ、狭い空間で男が12人しゃべってるだけの映画とかもあるわけで(※シドニー・ルメット監督の映画『十二人の怒れる男』)、それに比べたら、Bパートまるっとふたりで会話しているのなんて全然、っていうところもありますし(笑)。もちろん難しいところもあるんですけど、そのぶんやりがいも感じますね。
――なるほど。
安藤監督
あと、第1話のコンテが上がった段階で、キャラクターデザインの川上(哲也)さんから「もう少し表情を崩した芝居を入れてもいいんじゃないですか」と提案をいただいたんです。川上さんに、コンテ以上に面白い表情を入れてもらったことで、それがいいスパイスになって、飽きない画面にできたかなとも思いますね。
――描いていくなかで、一番面白いと思ったキャラクターは誰でしょうか?
安藤監督
ちょうど最終話のコンテを終えたこともあって(小鳥遊)ひかりさんですね。最終回は、いわばオマケ的なエピソードなんですが、ひかりさんが比較的メインを担っている回で。ただ、じつはこれまで彼女の内面的な部分にスポットが当たることって、それほど多くなかったんです。例えば第4話で、陰口を叩いてたクラスメイトに抗議する場面がありましたけど、どうも「なにかあるんだろうな」という感じがする。高橋先生じゃないですけど、「もっとこの子のことを知りたい」というか(笑)。ひとりの読者として、すごく興味があるんですよね。
――では最後に、観てくれているファンの方たちにメッセージをお願いします。
安藤監督
基本的には明るくコミカルな作品ではあるんですけど、そこにちょっと真面目な話が混じってきたり、振り幅の大きな作品だなと思っているんです。なので、観ていただいた方、それぞれに楽しめるポイントを見つけていただければな、と。男性なのか女性なのか、あるいは社会人なのか学生なのか。きっと立場によって感じ方が違うところが出てくると思うんですが、あくまでも気楽に、ひかりや町、雪たちのことを好きになりつつ、自分なりの楽しみ方を見つけてもらえるといいのかなと思っています。