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©ペトス・講談社/「亜人ちゃんは語りたい」製作委員会
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SPECIAL

諏訪部さんは語りたい

――まず最初に、高橋先生の第一印象から伺えますか?
諏訪部順一(高橋鉄男役)
亜人に対して強い興味を持っている朴訥とした感じの生物教師……というのが、最初の印象です。そのままですね(笑)。職務から逸脱したマッドな人なのかと思いきや、原作を読み進めていくと、知的好奇心だけで首をつっこむのではなく、彼女たちときちんと向き合い、共に悩み、共に笑う、とても良い先生でした。思慮深くて心根の優しい男ですね。至極まっとうな社会人なので、あれこれ演技プランを事前に練るよりも、自然体で取り組むというか、「良識あるキチンとした大人」でいれば、自ずと高橋鉄男を表現出来るのではないかと思い、実践してみました。彼の思考ロジックは突飛なものではないですし、共感出来るような部分も多いので、演じる上でストレスを感じることはなかったですね。すんなり入っていけるキャラクターでした。
――演じる際に、心がけたところなどはあるんでしょうか?
諏訪部順一(高橋鉄男役)
基本的に物静かな感じの人間なので、感情的な動きは亜人ちゃんたちに翻弄されることによって出てくるというか、彼女たちの言動に対するリアクションとして発生するものが多い気がします。ですから、自分発信で流れを構築していくのではなく、他のキャストのみなさんの演技に対してどう反応していくか。「こう言われたら、彼ならこう返すよね」みたいな感じが自然に出来るよう心がけたつもりです。
――そういう自然な日常芝居がメインだったかと思うのですが、その一方で、ギャグというかコミカルな場面も多かったですね。
諏訪部順一(高橋鉄男役)
ときどき訪れる「ご褒美タイム」って感じです。本当に楽しみながらやらせていただきました。スタジオも盛り上がりますし(笑)。コミカルなシーンは、シリアスなシーンよりも監督やスタッフのみなさんの反応が気になってしまいます。ガラス越しに見える表情が笑顔になっていると「やってやったぜ!」という気持ちになりますね。これは自分だけではなく、声優あるあるだと思います(笑)。ギャグをアクセントにすることで、物語のメリハリがより一層良くなったりします。本作でも効果的に使われていたのではないかと。
――好きなエピソードはどれですか?
諏訪部順一(高橋鉄男役)
ひとつを選ぶことは難しいですね。強いて言うならば・・・キャッチーなエピソードという意味で、第4話「高橋鉄男は守りたい」でしょうか。雪のことを陰で悪く言っている生徒たちにひかりが真正面からぶつかっていくシーンは印象深いです。落ち込んでいる雪のこともですが、ひかりの真っ直ぐな心も「守りたい」と思ってしまいました。この作品に登場する亜人ちゃんたちの「特性」は、普通の人たちも持っている「個性」とある意味同義のものだと思うんです。見た目、中身含め、少数派の個性を持つがゆえに悪口を言われたりいじめられたりということは、現実の世界でも多々あることですよね。
――そうですね。
諏訪部順一(高橋鉄男役)
出演作品の御感想をお手紙でたくさん頂戴するのですが、実際に教育の現場でお仕事をされている方から、「この回は道徳の授業で使えそうです」といったメッセージをいただきました。自分もそう思っていたので、とてもうれしかったですね。あと、第11話「亜人ちゃんは支えたい」もグッと来ました。なんていい生徒たちなんだと。高橋鉄男メンタルになっている自分はことさら泣けました。
――諏訪部さんのこれまでのキャリアのなかで、『亜人ちゃんは語りたい』はどんな作品になりましたか?
諏訪部順一(高橋鉄男役)
関わることが出来てよかったと心底思う作品ですね。年齢だったり、声優としてのキャリアであったり、このタイミングで『亜人ちゃんは語りたい』に出会えて本当によかったです。これがたとえば5年前だったとしたら、高橋鉄男をこういう風に演じられなかったと思いますし、そもそも役を頂けていなかったと思います。本当に「縁」ですね。終活なども考えるようになった昨今、程良く枯れてきた感じがフィットしたのかもしれません。
――いやいや、そんなことは!(笑)
諏訪部順一(高橋鉄男役)
人生の終わりが近いと思っているわけではもちろんありません。職業人としてこの先やれること、求められることを見定めておかなければという意識が強くなってきただけです。漫然と過ごしていたら時間はあっという間に過ぎてしまいますからね。まだまだやりたいことはたくさんありますので(笑)。自分の人生の主人公はあくまでも自分自身ですが、何かを伝えたり、残したり、見守ったり、なんていうようなことも、世代的にやっていく必要があるのかな、なんて。そんな今の自分に、この『亜人ちゃんは語りたい』は非常にしっくり来ました。年齢も性別も関係なくオススメ出来る、より多くの方に御覧いただきたい素敵な作品です。ですから・・・続編に期待しています!!