ABOUT

このホームページに記載されている一切の文言・図版・写真を、手段や形態を問わす、複製、転載することを禁じます。

©ペトス・講談社/「亜人ちゃんは語りたい」製作委員会
天気情報:©Craid & Yuka Natsumi

SPECIAL

吉岡さんは語りたい

――まずは参加の経緯について、お聞かせください。原作のことはご存知でしたか?
吉岡たかを
『四月は君の嘘』でもお世話になったアニプレックスの斎藤プロデューサーより「次はこれをお願いします」と、原作をいただきました。既に人気作だったのでタイトルは知っていたんですが、不勉強ながら読んだことはありませんでした。ご多分に漏れず『亜人』のアンソロジーだと思っていた自分をお仕置きしたいです。
――原作を初めて読んだときの印象を教えてください。マンガには「アニメ向き」のものとそうでないものがあるように思いますが、『亜人ちゃん』はどちらのタイプの作品だと思われましたか?
吉岡たかを
原作は素直に面白かったです。高橋先生が理系で考察する割にはオチが落語みたいで(笑)。アニメ化については会話劇が中心なので演出次第だと思いました。ビジュアル的な部分でいえば、マッチーの存在はアニメ向き……なのかな?(笑)
――シリーズ構成を詰めていく際、安藤監督からはどのようなオーダーがありましたか? 脚本会議などで、印象的なやり取りがあれば教えてください。
吉岡たかを
最初に監督からはモノローグは極力なくしたいというオーダーがありましたので、初期はできるだけモノローグをナレーションにしてみたり、会話にしてみたりと色々工夫しました。ただ、話数が進むにつれ割と原作に忠実になっていきましたね。原作にない細かいアイデアを毎回監督がたくさん考えてきてくださって本当に助かりました。中には「それは……ちょっとどうすかね?」と引くようなアイデアもたまにあったりましたが(笑)、そんな監督のやる気スタイルに引っ張られて自分も頑張れました。
――『亜人ちゃんは語りたい』は、亜人という一見変わったモチーフを扱いながらも、独特の「日常ドラマ」とコメディのバランスが大きな魅力になっています。脚本作業を進めるうえで、気をつけたところは?
吉岡たかを
いわゆる「ハンディ」を笑いに転化するのは、まず最初に、それが気にならない空気感を作らなくてはならないのですが、その辺りは原作のほうでナーバスなまでに巧く設計されていました。ですから、自分はそれに準じて組み立てなおしただけに過ぎず、実際のところ、あまり気にしなくてすみました。優れた原作です。
――また今回のテレビシリーズでは、原作のスキマを埋めるような形で随所にオリジナルのエピソードを追加しています。こうしたオリジナル要素について、どんなところに注意して書き進められましたか?
吉岡たかを
大枠の隙間を埋める流れは自分が考えて、細かいところは監督のアイデアを差し込む形で作業しましたが、経験上こういう作業は珍しくないので、あまり苦労することなく、ごく自然に作ることが出来ましたし、自分で亜人ちゃん達の活躍を描けること自体がとても楽しかったです。
――メインのひかり、京子、雪といった生徒たちについて、彼女たちの魅力をどんなふうに捉えていらっしゃいますか?
吉岡たかを
ひかりは文字通り「光」です。あまねく皆を照らし出します。ひかりに照らし出されることで、他のキャラクターが映えます。彼女が良い意味で最も成長しないのは、そういう役割を担っているからではないかと。京子はこの物語の非現実さを、ビジュアル的に一人で背負っているからこそ、一番普通の女の子であるべきで、真面目で健康的で甘えん坊で、三人の中で唯一恋をしているのも、そんな現れなのかも知れませんね。雪は唯一ドラマを背負っていましたが、都会に来て内向的になってしまったのであって、キャラが変わったのではなく元に戻っただけです。三人の中では、ピリッと効いた香辛料みたいな立ち位置がいいですね。
――また、そんな彼女たちを見守る 高橋先生も重要なキャラクターです。彼を描くうえで、注意を払っているところは?
吉岡たかを
あまり人格者にならないように隙を作りながらも、ちゃんと大人、というより社会人をしているように気を使いました。具体的にいうと、京子のリュックの件で担任の先生を気遣ったりとか、そういうちょっとした部分ですが。
――完成した作品をご覧になって率直な感想をお聞かせください。脚本段階では思いも寄らなかったポイントなどは あったのでしょうか?また、今回Blu-ray&DVDの本編映像に「日本語字幕」が特典として収録されていますが、吉岡さんの願うところと伺いました。
吉岡たかを
最初から演出次第だと思っていましたので、本当に素晴らしい出来で完成した映像を観るたびに、監督やスタッフさん、キャストさん達に感服するばかりです。自分が担当する作業は極論すれば単なる文字面だけですから、このような作品に関われたことが、変な言い方ですが本当に運が良かったな、と思います。 字幕に関しては、斎藤プロデューサーにご快諾いただけて嬉しかったです。なぜ字幕なのかというと、身内に難聴のアニメファンがいるので、そういった人が思いのほか大勢いて、そしてアニメを楽しむための日々どれだけ苦労しているかを少しは知っているため、自分のアニメくらいは苦労せず見てもらえればちょっと嬉しい! という理由からです。
――ありがとうございます。最後に、アニメを楽しんでいただいたファンの方たちにメッセージをお願いします。
吉岡たかを
こんなたくさんアニメがあるなかで、『亜人ちゃんは語りたい』をご視聴頂き本当に嬉しく思います。いつになるかは分かりませんが、またこの作品で皆さんとお会いできることを……。